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無線を使用しての無人移動体を考えてみた

無線を使用しての無人移動体を考えてみた

はじめに

唐突だが幼いころに筆者は、未来に運転士がいない無人の自動車が人を運んでくれたり、無人の洋服屋にロボットの店員が顧客に対して似合う洋服をおすすめしてくれたりする未来を舞台にしたアニメを見ながら、いろいろと想像をめぐらしたものです。

年を重ねるにつれて幼いころ考えていた未来の想像は薄れてきましたが、近年では、無人での移動体の自動化が少しずつ盛り上がりを見せています。ここでいう移動体とは、建機、車輪を実装した移動式クレーンなどのことです。

本記事では、無人移動体にスポットをあててご紹介します。

1.盛り上がる無人移動体

無人移動体の自動化が盛り上がる背景にはいくつかの理由があると筆者は考えています。

ひとつは、建機や移動式クレーンのオペレータが少なくなっていることがあり、企業がオペレータを募集しても人が中々集まらないのが現状で、人が集まったとしても熟練したオペレータに教育するまでに時間がかかってしまう状況があります。
もう一つは5Gをはじめとして無線機の技術革新が市場への無人化の移動体導入を力強く後押しをしているなどの背景があります。

過去に無人移動体の導入が見送られていたのは、高画質な映像や無人移動体のコントロールデータなどを伝送する際にデータ通信量に対して無線の通信速度が足りていない問題があり、無線区間の伝送も大きな遅延が発生するなどがあるなど、有線通信でこれらのデータを送るしかなかったことが理由にあります。

2.これまでの課題

建機を使用する工事現場やクレーンで積み荷を運ぶ現場において、有線通信で無人化の移動体通信を実現するためには、数十メートルの有線を移動体まで敷設しないといけないなど時間と手間がかかるため、市場導入へは現実的でなかったかもしれません。

また、無線通信は有線通信と比較して伝送の遅延が発生することが多くあります。例えば、無人の建機やクレーンを数百や数キロメートル離れた移動体を制御するコントロールルームから、オペレータが現場にある移動体の車両のカメラ映像を見ながら操作することは、数秒の伝送遅延が発生しただけで安全な操作が困難になります。無線の伝送遅延の理想は、100msec以下の安定した通信が必要になると考えています。

これらの理由から無人化の移動体通信の実用化を行うには、無線技術も向上が必須である背景がありました。
移動体通信を実用化するには、【高速】、【低遅延】、【安定】などのキーワードが必要になります。

3.4.9GHz帯を利用した移動体通信

この記事では、5G技術での移動体通信を紹介するのではなく、ちょっと変わった他の無線の周波数帯を使用した無人化の移動体を紹介します。

今回紹介するのは、4.9GHz帯を使用した移動体通信です。無線になじみがない読者も多くいると思いますので特徴を説明します。4.9GHz帯は、移動体通信を実現するデータ量を考えると伝送距離は3Kmほどになり最大数百Mbpsの高速な無線通信が可能です。また、無線機によっては伝送も低遅延で数十msecの遅延で伝送することができます。無線というと激しい降雨など天候に左右されて電波の減衰があると思われがちですが、4.9GHz帯の特徴として降雨などにも強く電波の減衰も少ないので、実現場での使用でも安定してオペレーションを行えることが期待できます。

一般的な話ではありますが、4.9GHz帯の無線機は市場に導入されてから10年以上も様々なアプリケーションで使用されていることもあり、無線機の価格も安価になっているため初期導入費用も抑えることが可能になっています。

4.ハンドオーバー

実際の作業現場では、無人移動体を使用する際に数百メートルの作業場で高速無線がどこでも使用できる通信網を作らないといけません。
作業現場で無線が通りにくいなどの場所があると無人移動体の作業に大きく支障をきたす原因となり、事故につながる可能性があります。こうした作業現場で安定した高速無線環境を整備するためには、多くの無線機を設置する必要があるとともにハンドオーバー(通信切替)という技術も必要になります。この技術は携帯電話の基地局に使用されており、無人移動体に設置されている無線機が基地局と通信をする際に、無人移動体に実装されている無線機はどのポイントに設置してある基地局と通信する方が高速で通信が出来るかを通信しながら確認しており、移動しながら最適な基地局と通信をすることにより高速通信の環境を安定して維持することが実現できます。

また、無人移動体側の無線機が既存の通信している基地局から他の基地局にハンドオーバーを行う際には、非常に短い時間で行わないと無線での通信に空白時間が出来てしまい作業も止まってしまいます。現在、RADWIN社が製造している4.9GHz帯の無線機ではハンドオーバー時間が30msec以下で行うことを可能としているため、通信を長く止めることなく安定して無線移動体を使用した作業をすることが出来ます。

おわりに

無人化施工のメリットとしては、危険な作業を伴う現場などで、オペレータが遠隔の場所で重機を操作することにより作業員の怪我なども未然に防ぐことができ、安全性を確保することが出来ます。
これらの無線技術が向上してきたことにより無人化施工などが現実的になってきたと言えるかもしれません。


お困りごとがありましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。

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